
何に限らずものを作るにあたり、まず必要なのは「型」である。錺金具についてもいうまでもない。
寸法の決まった長押などは別として、破風金具などは建物に紙をあてて「型」を取り(型取り)、その型紙をもとに文様をデザインして図面をおこす(設計)。意匠の考案は、新しいものはもちろんのこと、原物の完全な修復あるいは失われてしまった錺金具の再現にまで及ぶ。
できあがった図面は渋紙などに写し、透彫ならその通り切り抜き、線彫(蹴彫・地彫など)なら文様の通り小孔をあけて型を作る(型拵え)。
全ての基礎となるこの作業は、特に寸分の狂いも許されない精度の高い技術だけでなく、緻密なほどの時代考証と新しい時代を取り入れた創造性とが要求されているのである。


